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ohi-sama’s blog

晴れときどきPerfume

僕とキミ研究序説 2〜ポリリズム再考

 

ohi-sama.hatenablog.com

こちらの記事の続きです。

 

3.僕キミ作品群とは 

 (1)ここで話を一旦 Perfume に切り替える。

以前、andorei氏との間で「僕キミ作品群」なる研究をしたことがある。Perfumeの歌詞で「僕」「キミ」の両方が出てくるものは、例外なく代表作品になるという法則である。

「僕とキミ」研究序説 - ohi-sama’s blog

「僕とキミ」研究序説 あんどれいサイド - Perfumeが好きでした あんどれい総研

代表作かどうかは個々の主観が含まれるが、女性アーティストとしては「僕・キミ」の言い回しが極端に多いことは皆さんに同意していただけると思う。これがPerfumeの歌詞世界の基礎となる。 

 

コンピューターシティ、エレクトロワールド、Twinkle Snow Powdery SnowポリリズムDream Fighter、VOICE、GLITTER、未来のミュージアム、Dream Land

参考までこれが現在までの僕キミ作品。

 

以前書いたブログの文章をそのまま乗っけると、
・「僕とキミ」の場合は「僕=キミ」であり、ここでの「キミ」は実体を持たない観念上の存在に近い。

 

ohi-sama.hatenablog.com

 


・このカチッと作り込まれたひたすら内向きな世界。僕とキミ以外に世界の住人がいないんですから。

ほんの少しの僕の気持ちがキミに伝わる そう信じてる
・そこには性差という壁もなくて、固い殻に守られた中での「物語」が進む。正確に言うと物語にならない「想い」で完結している。

 

ohi-sama.hatenablog.com

 

 
・「僕とキミ」と「私」との最大の違いは、社会への従属性の有無です。「私」の対義語が「公」であることは小学生でも知っています。しかし、「僕」に対義語はありません。あえて言えば「君」でしょうが、「僕とキミ」というとき君主と臣下という意味は完全に取り去られています。

 

ohi-sama.hatenablog.com

 

 
こんな風に自分は「僕キミ作品群」の特徴を説明していた。

(2)これに対してandorei氏から頂いたコメントは、
 
「僕とキミで表される詞の世界は、フィクション性が強く、一般現実と外れた世界であるという伝統があり、その辺を意識したうえで、中田ヤスタカは、
僕とキミの世界をSF的に、ヴァーチャルリアリティ的に解釈したのではなかろうか、
基本的に、彼の詞の男の子と女の子って、パラレルワールドに住んでいて、互いに触れ合うことはできないのだけれども、
時たま訪れる奇跡の瞬間にだけ七夕のように意思疎通することができる、
そんなイメージを延々と追及しているような気がします。mikiko先生が 卵の殻を破るイメージを追求して、最後には第二回東京ドームの演出に至ったように、
中田ヤスタカって、パラレルワールドに住む男の子と女の子の物語をずっと詞にしている、私はそんな風に思うようになりました。」
 
こういったものだった。 
 

4.パラレルワールドと愛

andorei氏の考えを土台に、もう少し論を進める。
パラレルワールドの住人に愛はあるのだろうか。
 
たとえば、世界に「僕」と「キミ」しか人間がいないとする。
僕の気持ちがキミに伝わることはないし、キミの想いも僕にはわからない。住む世界が違うのだから。
でも中田ヤスタカは明言する。
 
とても大事な キミの想いは 無駄にならない 世界は廻る 
 
 「無駄にならない」と言っているのだから、キミの想いは決して伝わらない。そして「世界」が自分ではどうにもならない距離感を表現している。
 
でも、それがキミにとって「とても大事」だということは僕にだってわかるんだよ。 
 
 
以前、自分はこんな文章を書いたことがある。
Perfumeにおいて大切なのは理解ではなく共感である。記憶の奥底に沈んだ痛みである。音楽性云々も勿論重要ではあるが、思春期の魂に殉ずる者こそが永遠にファンであり続けるのではないかと推察する。 
 

 

ohi-sama.hatenablog.com

 

 

Perfumeは愛を歌わない。愛という単語が、歌詞でほとんど意味を持たないことは以前論じた。基本的に彼女らの歌詞は、自己の想いのなかで完結する。Perfumeは愛を歌うか - ohi-sama’s blog
そして、その世界に涙してきたのがファンとPerfumeとの関係性だった。まさにパラレルワールドを生きる「僕とキミ」の関係だったのである。 
 

5.廻る世界

誰もが生きるうえで「人間関係」が大事だという。しかし、それは気持ちを通じ合えることが前提であって、対外的な表面上の処世術にすぎない。そして我々が「愛」と呼ぶものは、そのレベルでの出来事であることがほとんどなのである。
だが、人間の想いは、表層のみでは捉えることのできないものであり、誰もが牢獄の奥底に魔物を飼っている。その正体を知ることはできないし、知ろうともしたがらない。自分にも他人にも理解不能だからである。
 
だから、想いというものは決して「伝わらない」。これが伝わると言っている人達は、どこかがおかしいと自分は思う。
しかし、理解はできなくても想いは「存在する」。
これを見て見ぬ振りはできないと感じた者は、その瞬間に別の世界に足を踏み入れることになる。 
 
前の記事で、「俺妹」の最終回にファンが怒り出したことを書いた。どうして恋愛感情もないのにそんな無責任なことをやるのかと。
おそらく、兄妹で結婚ごっこをしたところで、幸せは長くは続かない。だが、この兄は覚悟を決めたのである。
「自分は妹を理解することはできない。だが共感して一緒に生きることはできる。」
そして損得の問題ではないと感じたとき、人は初めて変わる。 
 
 
もう一度ポリリズムの歌詞を書く。
 
とても大事な キミの想いは 無駄にならない 世界は廻る
 
想いは伝わることはない。しかし、我々は「世界は廻る」ことを信じて生を全うすることができる。
それがPerfumeがファンに残したものだと自分は思う。   

 

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