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ohi-sama’s blog

晴れときどきPerfume

もしもPerfumeに正義があるとして

 

1.生来的敗北者

ROCKは正義だ。誰が言い出した言葉なのかは知らない。其処には確かな正解があって、その反対側は間違いとでも云うのだろうか?真意がわからぬ。
だが世の中にはあえて間違いを犯す人がいる。何も生まないことをわかっていながらワザワザ幸福から遠ざかる人がいる。
そんな人を何かが救うのだろうか。
 
最近、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(通称、俺妹)というアニメをYOUTUBEで観ている。
クソ生意気な中学2年の妹が18禁エロゲー(しかも妹系)にどハマりして、その秘密を偶然高校生の兄が知ってしまう。妹はこの趣味をどうしてもやめられない。この妹、平凡な兄とは正反対で、成績優秀、容姿端麗、おまけにファッション誌の読者モデルまでしているが、自分の内心を打ち明けられる相手がいない。兄は妹の無理難題だらけの人生相談に延々と付き合わされるというラブコメ
 
こういう設定だと大抵エロ全開となるのだが、殺意を覚えるほどツンデレの「ツン」が強い妹なので程よく中和。但し「アキバ系アキバ系によるアキバ系のためのアニメ」いう趣なので展開は推して知るべし。
しかし、物語後半は圧巻。妹が兄に対して恋愛感情を抱いていて、それが行動の核心ということが次第に明らかにされていくのだが、それゆえ性的には決して満たされることがないという生来的な欠陥を抱えている。そして、兄を慕う女性も何人かいるのだが、これを兄はすべて切り捨てる。
 
「20歳になっても30歳になってもお兄さんが好きなんて言い続けるの?気持ち悪いよね。そうやって結婚も出来ずに周りの人間を不幸にしていくの?」勝気な妹に容赦ない非難が降り注ぐ。
兄は答える。「お前の言ってることは正しくて、俺たちは間違いだ。だが止めねえ。近親相姦で上等だ。」
 
この物語のミソは、兄が妹に恋愛感情を持っているかは、最後までわからないところ。だから視聴者もこのセリフが妹をかばうためなのか、それとも本心で言っているのか混乱する。
だが、作品のテーマはまさにこの混乱にある。

我々が素晴らしいと崇め奉っている「恋愛」の正体って何なのよと。 
 

2.性愛>恋愛

この問題の解決は割と簡単で、妹が兄への想いを諦めればすべて丸く収まる。兄は他の女性と健全な恋ができるし、妹だって外見上は完璧だから引く手数多だろう。
しかし愛は至上というドグマがあるから、そう簡単には引っ込みがつかない。好きになったものは止められない。
 
こういう物語を見ると、私たちが恋愛と呼んでいるものが、実は性愛と同義ということがわかる。言い換えれば代替可能性ということだ。オスとメスがいればいいわけで、組み合わせは後からどうにでも交換できる。
ところが兄妹はそうはいかない。
妹は罵詈雑言をぶつけながら兄を扱き使うが、手を握るわけでもなく、キスをするわけでもなく、もちろんセックスもない。そういうのはエロゲーで解消済みで、ただ兄がわがままな自分をどう思ってくれているかだけを気に掛けている。
周囲はこのプラトニックラブが気に入らない。性愛が成り立たない男女関係を認めることができない。
 
この物語の最終回は兄妹がキスをして二人だけの結婚式をする。(まあ、ベタなラストだけど)
だが、これにはファンから非難轟々。兄が妹に恋愛感情があるかどうかも分からんのに、そういう展開は筋としてあり得ない。だいたい、この先どうするんだ。どこへ行っても後ろ指をさされる人生だ。こんなものテレビで見せるなと。
自分は既存秩序へのアンチテーゼとして最高にカッコいいと思うのだが、そんな意見はどうやらマイノリティらしい。
 
ここで問題提起をしたい。愛によって救われない人は、何によって救われるのか?
果たしてこの妹は救われたのか。兄はどうするつもりなのか。普通に考えたら、この兄妹の愛は不幸しか生まないのである。
 
これを次回Perfumeに関連させて考えてみたい(僕とキミ研究序説 2〜ポリリズム再考に続く)

 

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